伝統と革新が織りなす街。シアトル

雄大な自然が広がり数多くの世界的企業が集まるシアトル。
古きものと新しきもの、都市と自然が混然一体となったこの街では変化や多様性に富み、いつも新しい何かが起きている。
ここではそんなシアトルが発信する旬のシーンを紹介したい。

近頃、米国の話題となるとワシントン州やシアトルの名がよく挙がる。食やお酒に関する話が多いのだが、その筆頭がワイン。元来、ワシントン州が仏・ボルドーとほぼ同じの北緯45度から47度に位置していることやミネラル豊富な土地を擁していることなど、地理的・気候的な条件からブドウ栽培地として優れていることに加え、ノウハウや技術も大きく発展。いまやセラーやワイナリーの数も850以上とカリフォルニアに迫る勢いなのだ。しかも、小さくともこだわり派の造り手が多く、その優れたワインに世界が注目する。
クラフトビールも名物だ。ホップ生産量は全米一という土地柄だけあってマイクロブリュワリーは180以上とこちらも全米で第二位という数を誇る。市内には専売店やブリュワリーを備えた直営店(=ブルーパブ)が軒を連ね、どれも個性的。その時々にしか味わえないものもあり、ビール好きにはたまらない街となっている。さらにビール同様、州法で製造が認められたことで、ディスティラリー数はなんと全米一の110以上。ウィスキーのほかウオッカなども生産され、楽しめる場所が急増中だ。

ほかにもアメリカを代表するアイアンシェフ、トム・ダグラスをはじめ高品位なショコラティエFRAN S’など、あらゆるシーンが全米で注目され、シアトルをグルメシティへと押し上げている。いずれもクリエイティビティに溢れ、質にこだわっているものばかりだ。

こうした背景には、経済的な発展や豊かさがあることが否めない。古くはゴールドラッシュ、現代ではボーイング、マイクロソフト、コストコ、スターバックスそしてアマゾンと時代の先端を走る世界的な企業がここで生まれ、ここに集まっている。そうシアトルはマネーも人々も行き交う場所。上質なライフスタイルへの意識や志向も高く、自ずと求められるレベルも高い。投資も盛んで、志のある者にはチャレンジできる環境や成功を掴む機会があり、良いものを生み出す好循環がある。常に新しい何かがここで起きている。自然の豊かさ近さを含め、NYやLAとは一味も二味も違う、自由で新鮮な空気が街中に溢れている。

穏やかなエリオット湾に面した「パイクプレイスマーケット」。
190以上の商店や飲食店が軒を連ねるシアトルを代表する観光スポットだが、近郊の新鮮な食材が集まり、ローカルにも支持されている市場で食の意識の高さを感じる場所でもある。

Photo_Howard Frisk Photography

Access

成田からシアトル・タコマ空港までのフライト時間は約9時間。
デルタ航空では毎日17:30発の便があり、現地時間の9:55に到着。

古きにも新しきにも深いこだわりと革新がある

伝統的なブランドもハイテク企業も共存し共鳴しあう刺激的な街

シアトルの魅力は、古きものも新しきものが、一体となりギュッと詰まった、その多様性とコンパクトさにある。
シアトル発祥の場所、パイオニア・スクエア周辺には戦前に西海岸一の高さを誇ったスミス・タワーをはじめ100年以上の時を刻む歴史的建造物が立ち並び、ギャラリーやバー、名物のコーヒーショップが軒を連ねる。そのすぐそばにはマリナーズの本拠地セーフコ・フィールドやアメフトチーム・シーホークスの拠点センチュリーリンク・フィールドがそびえるといった具合だ。もっと街を俯瞰すると、ショッピングや金融の中心であるダウンタウンに、ウォーターフロントのパイクプレイスマーケット、コアなカルチャーが息づくキャピトル・ヒルそしてアマゾンが進出し、景観が美しく整えられたサウス・レイクユニオンなど、景観や雰囲気の違うエリアが連続し、実に多様な顔を見せる。どのエリアにもカフェをはじめヒップなグルメスポットやショッピングスポットがあり、きっとお気に入りの場所が見つかるはず。しかも、バスやモノレール、ライトリンクレールなどが縦横無尽に走り、アクセスもいい。カフェや心地よい公園も多いから、ぶらりと散策しながらこの刺激的な街を楽しみたい。

Starbucks Reserve Roastery & Tasting Room

シアトルのコーヒー新聖地
焙煎工場を備えたスタバの旗艦店

個性豊かで希少な品種を使ったコーヒー豆「スターバックス リザーブ®」の焙煎を担う巨大な焙煎機が店内で稼働する、スターバックスの旗艦店。
ハンドドリップやクローバーなど8つの多様な抽出でコーヒーが楽しめるカフェをはじめ、アート性にも富んだショップ、図書館、ラウンジスペースなどがある。その構成や品揃えは圧巻。必見のスポットだ。

1124 Pike St, Seattle, WA
www.starbucksreserve.com

Photo_Starbucks

Fran’s Chocolates

 

オバマ前大統領も御用達。シアトル発の上質なショコラティエ

フラン・ピゲロー氏が本場フランスに負けないチョコレートを、と立ち上げたシアトルの名物店。おいしさだけでなく美しさにもこだわったチョコは数々の賞に輝く。市内に数店あるが、古い醸造所を改装した本店がおすすめ。

5900 Airport Way South, Seattle, WA
www.franschocolates.com

ゴールドラッシュに沸く1897年創業の老舗アウトドア・ウエアメーカー「FILSON」。
レザーやコットンを使い、末永く愛用できるブランドとして世界的に人気が高い。広大なショールーム内には修理やレストアを担うコーナーもある。

www.filson.com

従業員を4万人近く抱えるアマゾン本社の進出で、街の再開発が進み様相も一変している。
中でも注目が「The Spheres」。
未来のオフィスとして作られた3つのガラスドームからなる建物で、世界中から集めた4万本以上の植物が収容されている。

www.seattlespheres.com

Photo_Rudy Willingham

個性豊かな味わい上質な大人の時間

マイクロブリュワリーにブティックワイン。
個性的なお酒をカジュアルに楽しみたい

前述したようにワシントン州ではワインやビールなど酒類の生産が盛んだ。1970年代のカーター政権下で自家での酒造が許されてから、ワインもビールもカリフォルニアがその先鋒となってけん引してきたが、近年ワシントン州がここまで加速化した背景には、既存のビジネスモデルにIoTなどテクノロジーのノウハウを組み合わせた、いわゆるエコシステムの政策的な実践がある。それは、優れた原料を生む産地も近く、住みやすさや雇用による人口の集中という消費の環境も良い上に、特にシアトルにはテクノロジーで生産性を上げる最新技術やアイデアがそこかしこにあるからだ。それゆえマイクロビジネスとしてスタートアップもしやすく、数多くのブランドが生まれている。大量生産品とは違って、こだわって作られるものが多く、それがシーンを個性豊かにしている。この豊富さはもちろん、現地でしか味わえないものもあり、市内にはこうしたお酒のテイスティングを気軽に楽しめるスポットが点在するほか、名門ワイナリーをはじめ小さなセラーが集まるウッディンビルなど周辺にも、大人が楽しめる魅惑のエリアが広がっている。

Glass Distillery

  

アーティでヒップ。名士も唸る美しきプレミアム・ウオッカ

ワイン用の良質なブドウを原料に、磨きこまれたハンドメイドの銅製の蒸留装置で個性的なウォッカを製造する地元でも注目のディスティラリー。シナモンやコーヒー風味のユニークなウオッカなども試飲できる。

1712 1st Avenue S Seattle, WA
https://glassvodka.com

Charles Smith Wines Jet City

 

西海岸最大のクール過ぎるアーバン・ワイナリー

ロックバンドのマネージャーだったチャールズ・スミス氏がボーイング社の滑走路近くに作った超ハイテク&モダンなワイナリー。街中でワインを醸造する「アーバン・ワイナリー」の先駆けであり西海岸最大級。テイスティングもできる。

1136 South Albro Place, Seattle, WA
www.charlessmithwines.com

クリエイティブな街の情熱溢れるコーヒーを

コーヒーショップ天国のシアトルでお気に入りの店を探してみよう

シアトルの名物といえばコーヒーも代表格の一つ。世界的なブランドへと成長したスターバックスをはじめ、シアトルだけで展開するブランドから、スペシャルな豆を一杯づつ淹れるマイクロブリューなどサードウェーブ系の店も数多く登場しており、街を散策していると数ブロックも歩かないうちにカフェが現れる。まさにコーヒーショップ天国だ。
イタリアンのエスプレッソがその源流にあるが、マシンの置き方や飲み方を含めイタリアとは違って、スタイルも自由。もちろん豆も煎り方もミルクやシロップにまでこだわり、驚くほどバラエティに富んでいる。誇りを持って対応しているバリスタも多く、顧客とのコミュニケーションを大事にしながら、さまざまな要望に応えてくれるのがシアトルの流儀。最近はマイクロブリュー系の発展からフィルターでろ過したシンプルなポアオーバーや水だしコーヒーなどが人気だが、もともと港町のシアトルでは漁師や船乗りが、寒さをしのぐため熱いコーヒーを愛していた「エクストラホット」の超熱々のコーヒーもぜひ試してほしい。

Caffe D’arte

  

職人技の焙煎豆にこだわる人気店

シアトルベースで活動するロースターとしてはじめて世界大会で優勝するなど数多くの賞に輝く実力派。イタリア式にスタンディングスタイルで楽しむカジュアルな店構えで、店内では気さくなバリスタたちが対応してくれる。

99 Yesler Way, Seattle, WA
www.caffedarte.com

Caffe Umbria

 

シアトルを代表する正統的イタリアンカフェ

本格的なイタリア式エスプレッソやコーヒーが楽しめる正統派のカフェ。自社にてローストし伝統にのっとった淹れ方にこだわる。本店は美しい並木と歴史的な建造物が立ち並ぶパイオニア・スクエア近く。テラス席で飲むエスプレッソは格別。

320 Occidental Avenue South, Seattle, WA
www.caffeumbria.com

Road Dog Tours

ツアー利用でシアトルを気軽に楽しむ

時間に余裕がないけれどシアトルを満喫したい!旬のシアトルを味わいたい!そんな人におすすめがツアーの利用。クラフトビールやコーヒーショップを巡るツアーはだいたい人気の3スポットを約2時間半から3時間で巡る内容だ。

1427 Western Ave,Seattle, WA
www.roaddogtours.com

ステイはクラシックで新しいブティック・ホテル

エココンシャスで自然や文化を大切にする一方、最先端企業が集まるシアトル。
伝統と革新が一体となったそのシアトルの現在を表徴するホテルを紹介する。

Hotel Ändra Hot Stove Society

シアトルの現在をスタイリッシュに楽しむ

白い外壁のクラシカルな建物にモダンなエントランス・ルーフが特徴の「ホテル・アンドラ」はダウンタウンのサウスレイク寄りに位置する。ビジネスにも観光にもとても動きやすい場所だ。暖炉を備えた居心地の良いロビーをはじめ全119室の部屋は、上質な素材と北欧風デザインでとてもチャーミングな雰囲気。旅の疲れも癒されるホッとする暖かさに溢れている。館内にはギリシャスタイルの料理が自慢のレストラン「ローファ」やワインが豊富な「アサジオリストランテ」があり、ローカルでいつも賑わっている。

なかでもユニークな存在は2Fに構える「ホットストーブ・ソサエティ」。シアトル出身の米国版アイアンシェフ、トム・ダグラスがプロデュースするクッキングスクールだ。プロのように調理することをコンセプトに、肉や魚の切り方からケーキやピザそして本格的なクッキング体験まで月毎に数多くのプログラムを提供している。基本的にはローカル向けのクッキングスクールだが、観光客でも参加可能。なかなか本格的で指導も試食の時間も含め心から楽しめる内容。きっと忘れられない体験となること間違いなしだ。

Hot Stove Society

料理の鉄人トム・ダグラスのクッキングスクールで調理体験

プログラムはレシピや食材についてレクチャーを受け、本格的なプロ仕様の器具を使って調理、最後は参加者で試食する流れ。所要時間は2時間ほど。TVなどの収録にも使われる本格的な厨房施設での調理はとてもプレミアムな体験だ。

2000 4th Ave, Seattle, WA
www.hotstovesociety.com

Hotel Ändra

ダウンタウンも至近。北欧デザインの心地よいホテル

1926年に建てられたアパートメントの外観はそのままに、ホテルとして2004年にオープンしたブティック・ホテル 。“Ändra” とはスウェーデン語で“change”を意味するが、その名にあるように、設えに優しさと温もりある北欧スタイルが特徴のホテルだ。

2000 4th Avenue,Seattle, WA
www.hotelandra.com

Superia Room/ Lobby/ Exterior/ Photo_Hotel Andra

Kimpton Palladian Hotel Shaker+Spear

クリエイティブな空気とローカルの熱気に触れる

パイクプレイス・マーケットへも歩いて数分、ダウンタウンも至近というシアトル中心部の散策に最適な場所に位置する「キンプトン パラディアン ホテル」。外観は1910年に建てられた9階建てのクラシックなビルをそのままに、中身は地元出身のジミ・ヘンドリックスをはじめロックスターをモチーフに取り入れるなど、クラシックとモダンが融合したクールな雰囲気が漂う。一方、全97室の室内はシンプルさを基調としたもので、パブリックスペースとはまた違った雰囲気をみせる。そのユニークなデザイン性やサービスの高さから、権威ある米国コンデナスト・トラベラー誌でもおすすめのホテルとして選出されている。さらに人気を高くしているものが、NYやLAで腕を振るってきたセレブリティシェフ、キャロリーン・スぺンス氏がチームを率いるレストラン「シェーカー+スピア」。魚介類を中心に地域でとれた新鮮な食材を使ったパシフィック・ノースウエストならではのテロワールは、ローカルの間でも大変人気があり予約は必須。店内はシアトルを代表する建築家グラハム・ババ氏によるデザインで、最先端のシアトルを感じさせるもの。クリエイティブな都市へと変化するシアトルらしいステイが楽しめるHIPなホテルだ。

Shaker+Spear

ローカルにも人気の絶品シーフード

LAのChateau MarmontやNYの星付の名店Spotted Pigでエグゼクティブシェフを務めてきたキャロリーン・スぺンス氏が腕を振るう人気のシーフードレストラン。地域にある自然を表現に取り入れたクリエイティブな料理はぜひ一度味わうべき。

2000 2nd Avenue,Seattle, WA
www.shakerandspear.com

Kimpton Palladian Hotel

シアトルの現在を表現するローカルにも人気のホテル

ホームタウンスタイルを掲げ、シアトルらしい伝統と革新を意識したセクシーでHIPなとして話題のホテル。部屋はシンプルでクリーンそして機能的で快適性に優れる。レストランも人気だが、バーもローカルの社交の場として賑わう。

2000 2nd Avenue,Seattle, WA
www.palladianhotel.com

Corner King/ Photo_Cris Molina, Suite Bathroom/ Photo_Cris Molina,
Lobby/ Photo_Kimpton Palladian hotel