【搭乗体験記】デルタ・プレミアムセレクト:トラベルライター 長谷川あや

プレミアムエコノミー(以下、プレエコ)というカテゴリーが登場して、果たしてどれくらい経つのだろうか。これまでいくつかの航空会社のプレエコに搭乗してきた。「プレミアム」を名乗っているだけあり、通常のエコノミーよりはもちろん快適だ。

ただ、あくまでも「エコノミー」の域は超えていない(エコノミーとプレエコとの「差」の大きさは航空会社にとってまちまち、であるが)。まあ、「プレミアム」とはいえ、「エコノミー」なのだからそれは致しかない。それでもロングフライトでは、そのわずかな「差」が大きかったりする。これが私がプレエコ全般に抱いている印象である。

結論から言ってしまえば、「デルタ・プレミアムセレクト」は、エコノミークラス、そして、これまでの「プレエコ」の域を超えていた。ほかの航空会社のプレエコ以上に、通常のエコノミークラスの差は明確だった。

どちらかといえば、ビジネスクラスに近いとさえ感じた。かつてのビジネスクラス並みで、新しいぶん機能性はより快適かもしれない。

シートピッチ(最大約96.5cm)、シート幅(最大約48.3cm)が「デルタ・コンフォートプラス」以上に広いのはもちろん、うれしかったのは、調節可能な折りたたみ式のフットレストだ。

加齢とともに、エコノミークラスでの10時間以上を超えるフライトが苦痛になってきているが、これなら太平洋を超えるフライトも余裕である。クッション性のある背もたれもデキる子だった。長時間のフライトではかなりの威力を発揮する。

個人的に特筆したいのは、離陸前のウェルカムドリンクのサービスだ。多くの航空会社のプレエコでは、ウェルカムドリンクの提供はない(2018年8月現在)。搭乗早々のワンランク上のおもてなしに、心で快哉を叫んだ。

専用のアレッシイ製の食器で供される食事にも心が躍る。食事の内容もプレミアムエコノミー専用だ。ほかの多くのキャリアのプレエコでは基本的に食事はエコノミーと同じもので、これにプラスされるかたちで、プレエコ用にワンランク上のデザートやワイン、前菜や軽食(スープや麺類)などが付く場合が多いが、これは幸せな驚きだった。

アレッシイ製の食器、食事内容のほかにも、「デルタ・プレミアムセレクト」だけのものが用意されている。ビジネスクラスで人気を博していて、いまやデルタ航空の特長のひとつともなっているTUMI製のアメニティキット、ウェスティンホテル開発のヘブンリー・ブランケットや枕も、新たに「デルタ・プレミアムセレクト」用のものを開発したそうだ。

さて、大満足の食事を終え、就寝の態勢は整ったが、まずは映画を楽しむことにした。「デルタ・プレミアムセレクト専用」の個人用モニターは、クラス最大級(13.3インチ。デルタ航空のメイン・キャビンは9~11インチ、デルタ・ワンは15.4インチが主体で18インチが最大)。ヘッドフォンは、ビジネスクラスと同じノイズキャンセリング機能付きLSTN製ヘッドフォンが提供される。これはお手並み拝見といかなければなるまい。

プレエコに限ったことではないが、デルタ航空の機内エンターテイメント「デルタ・スタジオ」の充実ぶりはかなりのものだ。たとえば、日本語で観られる映画だけでも100タイトル以上。エイビーロード・リサーチ・センターによる国際線エアラインの満足度調査の「航空会社(エアライン)ランキング エンターテイメント部門」(2018年版)で、第4位にランクインしている。

映画館に行くほどではないが気になっていた邦画を機内で見ることが多い私にとっては、邦画のラインナップが充実しているのはうれしい。「こんなの、上映してたっけ?」といった映画との邂逅も果たせる(そして、そういった映画がなかなか面白かったりする)。

モニターは解像度も高く、タッチ感度も良い。約17.8cmのリクライニングを倒し、フットレストを調節し、ヘブンリー・ブランケットを膝にかけた極上空間で、ワインをちびちびやりながら、4本半の映画を見倒した。搭乗するクラスを問わず、機内では“最初の機内食のときにお酒をあおったあとはとりあえず寝る”という過ごし方が主体の私にとっては、1回のフライトで観た映画の本数の新記録更新である。そんなわけで、今回のフライトでは、睡眠を得ることよりも、「デルタ・スタジオ」の魅力を味わい尽くすことに全精力を傾けたが、次回は睡眠にロックオンするのも悪くないはずだ。

エンターテイメントを楽しみたい人、仕事をしたい人、睡眠ととりたい人──。「デルタ・プレミアムセレクト」にはさまざまな顧客のニーズに応える懐の広さがあり、そして、いずれにニーズの顧客も満足させる「実力」がある。よりプレミアムな、プレミアムエコノミー、そんな印象を受けた。

搭乗日:2018年7月
 トラベルライター 長谷川 あや