ロサンゼルスの人たちがこよなく愛するバカンス地、パームスプリングス。20世紀半ば、フランク・シナトラやエルビス・プレスリーといったスターたちがこぞって豪邸を立て、高級別荘地としての輝かしい歴史が花開いた。しかし、海と山、両方に恵まれたロサンゼルスの人たちが、なぜパームスプリングスを目指すのか? その理由を紐解くべく、いざパームスプリングスへ。

 

ロサンゼルスから東へ約170km。かつて「2時間以内にスタジオに戻って来られる場所にいること」という2時間ルールに縛られていたハリウッドの映画関係者たちにとって、パームスプリングスは条件をギリギリ満たす格好の逃避行先であった。ちなみにパームスプリングスとは、正確にはグレーター・パームスプリングス地方のひとつの都市名。音楽フェスティバルで知られているコーチェラや、「砂漠のビバリーヒルズ」と称されるランチョ・ミラージュなど、個性豊かな9都市からなる。

 

©️visitgreaterpalmsprings

中でも観光客に人気なのは、やはりパームスプリングスだ。その楽しみ方は様々。年間350日以上が晴天という恵まれた気象条件のもと、ホテルのプールサイドでリラックスするもよし。湧き水のおかげで緑に囲まれたゴルフコースやテニスコートでスポーツを楽しむのもよし。また、車を借りて街なかのミッドタウンセンチュリーモダン建築巡りをするファンも多い。代表的なホテルのひとつであるエースホテル&スイムクラブは、20世紀半ばに建てられた近代モーテルをリノベーション。客室にはレコードプレーヤーが設置されており、全体的にボヘミアンな雰囲気が漂う。また、ダイニングのキングス・ハイウェイは、かつてデニーズだった建物が改装され、オシャレに生まれ変わっている。いたるところで、そうしたセンスの良さを感じるのが、パームスプリングスの特徴である。

 

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アクティビティにも事欠かない。スタイリッシュなオープンエア&真っ赤な車体のジープツアー(https://red-jeep.com)では、インディアンキャニオンやジョシュアツリー国立公園を巡るルートが人気。また世界最大の回転式ロープウェイ、エリアル・トラムウェイ(https://www.pstramway.com)に乗れば、約10分間で標高2596mの山頂駅まで上昇。コーチェラバレーを眼下に見下ろしながら、直前までの猛暑が嘘のような、高原の心地よさを体感できる。山頂はサンジャシント山州立公園の入り口になっており、トレッキングも可能だ。

 

©️visitgreaterpalmsprings

 

またグレーター・パームスプリングスでは、年間を通して数多くの国際的なイベントを開催している。1月にはパームスプリングス国際映画祭やPGAツアー(全米男子プロゴルフツアー)、2月にはモダン建築やデザインをテーマにしたイベントのモダニズムウィーク、3月にはファッションウィーク、テニスのBNPパリバオープン、パームデザート・フード・ワイン・フェスティバル、4月にはコーチェラ・ヴァレー・ミュージック・アンド・アーツ・フェスティバル、6月にはグレーター・パームスプリングス・レストランウィークとパームスプリングス国際短編映画祭、11月にはLGBTを支持するパレード、グレーター・パームスプリングス・プライドなど、ざっと列挙しただけでも相当な数がある。

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ちなみにこの取材時(2019年6月)には、コーチェラと同じプロモーターが仕掛ける音楽フェスティバル、スプラッシュ・ハウスがちょうど開催中。6月と8月、年に2回開催し、ルネッサンス、リビエラ、サグアロの3つのホテルのプールを会場とする新しいタイプの音楽フェスで、今パームスプリングスでもっともホットな話題のひとつ。一ヶ月以上前からチケットは完売という人気ぶりで、この日もロサンゼルスなどから多くの若者が駆けつけ、華やかなシーンを演出していた。

©️Splash House

チルと遊びのバランスが絶妙で、リゾート感満載のパームスプリングス。ちなみに、スプラッシュ・ハウスに遊びにきていた女の子に、冒頭の「なぜ海も山もあるロサンゼルスからわざわざ遊びに来るのか」と質問をぶつけて見たところ、「だってロサンゼルスには砂漠がないじゃない!」とのこと。なるほど、南カリフォルニアの遊び方は、どこまでも贅沢で、どこまでも眩しい。そう感じたパームスプリングスのショートトリップだった。

 

取材日:2019年6月

Text by Keiichi Izawa

取材協力:Visit Greater Palm Springs(https://www.visitgreaterpalmsprings.com/