自分が培ってきたものを令和風にアレンジすれば

歳を重ねてからでも、今以上に成長できるはず

デルタ航空のアンバサダーである宮本勝昌プロが、令和初のトーナメント
「中共クラウンズ」で優勝を飾った。プロデビューから23年とすでにベテランの域。
変わらずに結果を出し続けられる原動力は、どこにあるのか。
フィジカルを鍛えるトレーニングからメンタル面まで、自らのこだわりを赤裸々に語ってもらった。

Profile

宮本勝昌

ハートンホテル所属。1972年08月28日生まれ、静岡県出身。
13歳からゴルフを始め、日本大学1年生のときには、4年生の丸山茂樹を下して『日本アマ』チャンピオンに輝く。1995年にツアープロに転向。1998年4月の『つるやオープン』で初優勝を飾り、同年の『日本シリーズ』も制覇した。01年には『日本ゴルフツアー選手権』と『日本シリーズ』の2冠達成。16年は史上9人目の生涯獲得賞金10億円を突破し、『中日クラウンズの』優勝で通算12勝に到達。


芹澤・藤田プロの背中が自らを練習へとかき立てる

2018年は、宮本勝昌プロにとって、本意なシーズンではなかっただろう。体調不良もあり、プロになって始めてシード権を逃した。曰く、「今年は結果を出さないといけない」という気持ちで臨んだ2019年シーズン。その決意を叶えるのに、さほど時間はかからなかった。令和初のトーナメントである「中日クラウンズ」。最終18ホールでバーディを決め、逆転優勝を遂げたのだ。翌日の紙面を飾った見出しは、「昭和の男が令和で初優勝」。まさに、メモリアルな試合に足跡を残したことになる。勝因を尋ねると、「運ですよ、運」と笑って答えてくれた。

「上位に食い込むのは実力。その中で優勝を勝ち取るには、相当な運も必要だと思っています。だから私は験担ぎもしますよ。ごみを見つけたら必ず拾うしね。正直、自分が捨てたごみじゃないのにと思うこともある。でも、その善行が微妙なパットでのインにつながるかもしれないと思うと、やっぱり拾っちゃうよね」

運の話は、自らの実力に自信があり、やるべきことを全てやりつくしたからこそ出た言葉だろう。「人事を尽くして天命を待つ」だ。事実、宮本プロの師匠である芹澤信雄プロは「宮本は天才。その天才が2019年のオフにはものすごく練習していた」と語っている。

しかし、本人は「僕は本来、練習嫌いなんですよ」とにべもない。ご存知の通り、宮本プロはチーム芹澤の一員。師匠の芹澤プロはもちろん、先輩の藤田寛之プロも練習の虫として名高い。「芹澤・藤田プロと行動を共にして20年。ずっと彼らの背中を見てきました。2人を見ていると、練習せざるを得ない」

最初は頑張って1週間ついていった、それが1ヵ月となり、1年続いた。気がつけば、同じように練習をしていたという。

練習スタイルは愚直だ。師匠である芹澤プロにチェックしてもらい、課題を指摘してもらう。その課題を克服するために練習に打ち込む。20年間、一貫して続いているという。

シーズン中は、月曜日が筋トレなどを含めた本格的なトレーニング日。火・水は筋トレを行わず、スイングのチェックなどで身体を休める。「ケガをしないように調整するのもトレーニングの一環」と宮本プロ。木~日は、トーナメントに参加する。

「トーナメント中は、どうしてもホテル生活になります。だから、終わったら、次のトーナメント開催地に直接行くのではなく、必ず自宅に帰るようにしています。家族と一緒に食事をするだけでも、気持ちの切り替えになる。充電することで、ツアーへの活力が生まれます」と宮本プロ。シーズンオフや夏休みには、家族でハワイに行くことも多いという。

「ハワイに行く時はデルタ航空さんにお世話になっています(笑)。大体一週間程度ですが、そのときだけはクラブを持っていかない。ハワイにはいいゴルフ場が沢山ありますが、それはチーム芹澤のハワイ合宿で十分。妻とショッピングをするなど、のんびり過ごしていますよ」


目の前の1ショットが結果へとつながっていく

デビューから23年が経ち、今年で47歳に。年令を重ねた今、「ゴルフは普通のスポーツと違って、50代になっても経験で上を目指せるのが面白い」と感じるようになった。

「パターなんか、顕著ですよ。数をこなしていないと。グリーン上の傾斜が読めない。技術だけでなく、気持ちのコントロールも年齢を重ねた方が上手くできるようになりました」ゴルフは、気持ちの切り替えが重要なスポーツだ。それまで好調でも、前ホールでの失敗を引きずり、崩れる選手は珍しくない。

「僕は、私生活では喜怒哀楽が出やすいタイプ。それだけに、プレー中は気持ちに波風を立てないように心掛けています。そうはいっても、若い頃は心が乱れることも多くて、師匠によく叱られていました。40歳も半ばを過ぎて、次のチャンスを待つ我慢ができるようになったからかな。これも経験を積んだからですね」

もちろん、ただ経験を積めば良いわけではない。経験を活かすには、探究心も必要だという。

「自分のやり方に凝り固まらず、トレーニングやクラブなど、新しいものがあれば試してみる探究心が大事だと思います。自分が培ってきたものを令和風にアレンジして、高みを目指す。これはゴルフに限ったことではありません。仕事全般にもいえるのではないでしょうか」

「中日クラウンズ」の優勝で年末に開催される「ゴルフ日本シリーズJTカップ」の出場権を得た宮本プロ。これまで3回の優勝を果たした相性の良いトーナメントだ。

「今年の目標は、日本シリーズでの優勝。4回優勝したのは、青木功さんと尾崎将司さんしかいません。まずは、お二人に並びたい」と抱負を語る宮本プロ。しかし、過度な気負いはない。

「気持ちとしては力士と同じ。一番一番、目の前の取り組みに集中するだけです。僕の場合は、一試合一試合、1ホール1ホール、そして1ショット1ショット。その1ショットが、結果につながると信じています」


Infomation

宮本プロが教える!

ワンポイントアドバイス

簡単な筋トレとスイングで40歳からでも飛距離アップ

SKY読者の中にも、ゴルフ愛好者は多いだろう。もしかすると、「若い頃ほど飛距離が出なくなった」と悩んでいるかもしれない。そんな諸兄に、宮本プロが二つのアドバイスをくれた。

「30代をすぎると、身体は衰える一方。特に、筋力の衰えは飛距離に直結します。筋力は、トレーニングをすることでやっと維持ができると思って下さい。なかでも、意識して欲しいのは身体の後ろ側。肩や肩甲骨、腰回りの筋肉です。これは、ゴムでできたトレーニングチューブで鍛えることができます。全面の筋肉は腕立て伏せや腹筋で十分。あとは、スクワットでお尻を鍛えて下さい。ジムに行かなくても、自宅でできますよ」

では、技術的にはどういったことに気をつければよいのか。

「飛距離を伸ばすには、連続素振りがオススメです。これは、自分が全力で振れる振り幅の7~8割の振り幅で、スイングとテイクバックを同じスピードで10回繰り返します。イメージは、顔の横に手がくる感じ。これが意外とできない。途中で疲れてしまうのです。続けることで、関節の可動域が広がって、体幹も鍛えられ、確実に飛距離が伸びますよ」

プロ直伝のアドバイス、飛距離に悩んでいるなら、是非、試してみて欲しい。