全米で最も住みたい都市として知られているオレゴン州ポートランドは、早くからリサイクルやエココンシャスなど、地球に優しい活動に積極的に取り組んできた街でもある。
そんなポートランドで近年注目を集めているのが、創造的再利用とも訳される「アップサイクリング」だ。
時代の先端を行くポートランドの、最新ムーブメントを紹介したい。

Text_Sky Photo_Shinichiro Oroku, Cooperation_Travel Portland www.travelportland.jp
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そもそもアップサイクリングという言葉は、ダウンサイクリングという言葉とセットで1990年代半ばから使われるようになった。いわゆるリサイクルの多くは、元の製品よりも価値が下がる「ダウンサイクル」の流れのなかにある。一方でアップサイクリングは再生した製品を、デザインやテクノロジーの力などを使って、元の製品より価値を下げる。リサイクルの工程のなかで、新たな価値を創造する。それが、アップサイクリングの大きな特徴だ。

近年、全米で一番住みたい都市に選ばれるオレゴン州のポートランドは、アップサイクリングのムーブメントが盛り上がっている街としても注目を集めている。

そもそもポートランドは、土地利用を区分する都市成長境界線を 1979年から導入するなど、昔から持続可能性(サスティナブル)を都市計画に取り入れてきた街だった。また街中の再開発をする際も、古い建物を安易に取り壊さずにそれらをリノベーションして利用する例が多いなど、ポートランドには古い物を大事に使う考えが、広く人々の意識に浸透している。そのような彼の地の気風は、既にあるものを使って新たな価値を創造するというアップサイクリングの理念と、とても相性が良いのだろう。

またポートランドは、様々な分野のクリエーターやアーティストが、アメリカのみならず世界中から集まり、創造的なスモールビジネスを営む例も多い。そのようなクリエーティビティー豊かな人々が、熱心にアップサイクリングなビジネス、そしてNPO活動に取り組んでいることが、ポートランドのアップサイクリング・ムーブメントを加速させているのだ。

ポートランドは市街地に大きな公園がいくつも点在しており、街中にいても自然を身近に感じられる街だ。そして余暇の時間には市街地を囲む大自然の中で、トレッキング、フィッシング、サイクリングなどのアウトドア趣味を楽しむ人も非常に多い。そんな自然に恵まれた快適な街での暮らしのなかで、豊かな自然を守ることへの意識を多くの人が育み、周囲の人たちと同じ想いを共有している点も、ポートランドとアップサイクリングの親和性の高さの背景にはあるのだろう。

今回の取材ではポートランドを中 心に、オレゴンの様々なアップサイクリングな取り組みを探ることをテーマに旅をしてみた。彼の地の最新事情を、皆さんにお届けしたい。

Access

日本からオレゴン州への玄関口となるポートランド国際空港へは、 デルタ航空の直行便が就航中。2020年3月29日からは、羽田空港-ポートランド国際空港への運航が開始される。

ポートランドを流れるウィラメット川に架かるホーソーン橋を、 ダウンタウンから眺める。遥か先に見えるのは、富士山とほとんど同じ標高のマウント・フッドだ。 自転車と歩行者優先で、市街地には路面電車網や バス網などの公共交通機関が整備されており、クルマを所有しなくても移動に困らないのもこの街の魅力だろう。