『テーラーメイド M5 ドライバー』
これだけでピンときたあなたはかなりのゴルフ好きだろう。
2019 年、タイガー・ウッズがマスターズを制覇したとき、
その手に握られていたメタルウッドだ。
最新技術を駆使し予想を超えるギアを
生み出すテーラーメイドの姿勢は、
タイガーだけでなく、ローリー・マキロイ、
リッキー・ファウラー、
ダスティン・ジョンソンなど名だたるプロが信頼をおく。
2019年には銀座に旗艦店をオープンし
勢いに乗るテーラーメイド。
その強さの秘密と2020年の戦略を
代表取締役のマーク・シェルドンーアレン氏に聞いた。

Profile

Mark
Sheldon-Allen

1964年10月5日生まれ。イギリス出身。
1994 年から2 年間、ロンドンでビジネスコンサルタントに従事。
1996 年に「ナイキ」のサプライチェーンダイレクターに就任、
2005年まで韓国、日本、アメリカで生産、製造、
販売などに携わる。2005年に「ナイキゴルフ」に異動。
韓国ナイキゴルフ、ナイキジャパンにて
ゼネラルマネージャーとしてゴルフビジネス全般に従事する。
2014年9月よりテーラーメイド-アディダスゴルフ
韓国法人のマネージングダイレクターに就任。
2016年1月より現職。自身のゴルフの腕前は
「90を切れば非常に良い方のボギープレーヤー」とのことだが、
飛距離は260ヤードを超えるという。お気に入りのゴルフ場は
「成田ゴルフ倶楽部」や「太平洋クラブ御殿場コース」。
ただし、プレーは仕事を兼ねて平日に行うことが多く、休日は、
奥様と愛犬のゴールデンレトリバーと過ごすことが
もっぱらの日課だという。


タイガーやマキロイなどトッププレーヤーに信頼される
テーラーメイドの技術力

非常に話を聞きやすい人物、というのが最初の印象だった。回答が明快なのはもちろんだが、なによりその場を和やかにし、会話が弾む雰囲気を創り出す。
その理由は、シェルドンーアレン氏にリーダーに必要な資質を尋ねたときの回答で納得がいった。

「リーダーにはパーソナリティが重要。部下や取引先、お客様などさまざまな人と近くで接し、彼らの話をよく聞いて、そこから学ばなくてはいけません。そのために、話しかけやすい雰囲気を心掛けています」

スポーツビジネスに携わるようになったのは20年前だ。スタートは、大手スポーツブランドでのサプライチェーンやオペレーションの業務。ゴルフビジネスに関わるようになったのは15年前で、その大半はアジア地域でキャリアを積んだ。シェルドンーアレン氏は、「日本のマーケットは、欧米と全く異なります。私は、アジアでのビジネス経験が長く、今もアジア地域全体を統括しています。
この地域への理解の深さ、知見は私の強みだと思っています」と語る。その実績を買われてテーラーメイドゴルフの代表取締役社長に就任したのは、4年前のことだ。

そんなシェルドンーアレン氏にとって、2019年はひときわエキサイティングな年だったに違いない。4月にはタイガー・ウッズがマスターズ優勝。11年振りのメジャー制覇は大きな話題となった。その後、10月には日本で初めて行われたアメリカのPGAツアー「ZOZOチャンピオンシップ」でも優勝したのは記憶に新しい。同大会では、ローリー・マキロイも3位入賞。そして、翌週の「WGC HSBCチャンピオンズ」では見事優勝を飾った。

「タイガーやローリーといったトップ選手は、世界的に認知度が高い。日本、韓国、中国といったアジアのゴルファーたちも、常に彼らの動向を見ています。そういった意味で彼らの今年の活躍は、テーラーメイドのプロダクトにとって非常によいPRとなりました」


彼らの勝利はブランドイメージの向上に直結する。華々しい活躍もあり、2019年はテーラーメイドにとって飛躍の年となった。シェルドン|アレン氏は、「2016年からの3年間は、世界中のゴルフ企業のなかで最も成長できた企業だと信じています。2019年もその流れを引き継ぐことができました」と胸を張る。なかでも存在感を発揮しているのが、代名詞でもあるメタルウッドだ。ドライバー、フェアウェイに関しては、2018年に続きシェアトップを獲得したという。

しかし、クラブというものは、トッププロが使っているだけで売れるようなミーハーで単純なモノではないだろう。重要なのは、プロダクトそのものの性能が高いことだ。プロが納得し、一般ゴルファーも使いやすい性能の高さこそ、テーラーメイド躍進のもうひとつの理由にほかならない。その性能の高さを担保するために、彼らはあるミッションを掲げているという。それは、毎年、必ず
新しい商品を出すことだ。テーラーメイドのメタルウッドといえば『Mシリーズ』が有名だ。最新作の『M5』は、タイガーやローリーだけでなく、松山英樹なども愛用している。2016年に『M1』『M2』が発売され大成功を収め、成長の足がかりとなった。2017年にはNEW『M1』『M2』へと、2018年には『M3』『M4』へと進化。そして2019年に『M5』『M6』がデビューした。

シェルドン|アレン氏は、「ただ新しくすればいいというわけではない。過去のプロダクトと比べて、目に見えて改良され、進歩したものだけを出すように心掛けています」と語る。分かりやすい例が、『M5』『M6』の進化だ。世界で初めて、一旦、反発性能をルール適合外まで高めてからチューニング(戻す)することで、最終的にルール適合に収める「スピードインジェクション」を新たに開発・導入。製造する全てのドライバーヘッドの反発性能を、ルール上最大限にチューニングすることに成功した。


更なる躍進の年。若年層も含み全ての世代にリーチする

常に進化するプロダクトを開発できるのはなぜか。その秘密をシェルドンーアレン氏に率直に尋ねたところ、「世界中で使われているクラブから得られるデータの豊富さにある」という。膨大なデータから現状の問題点を分析し、フェイスの厚さや使っている素材などを検討し、解決するのだ。しかし、素材の開発や反発性能の追及は、ある意味研究し尽くされているといってもよい。シェルドン|アレン氏も「イノベーションの余地はどんどん縮まり、開発は難しくなっている」と認めながら、将来の展望を口にした。

「現在は素材を中心に進化させていますが、将来的には、エアロダイナミクスや形などにシフトしていくと考えています。そういった意味では、新たな方向の進化を、とても楽しみにしています」

契約トッププロの躍進やたゆまない技術進化へのこだわり、加えて、ここ3年間でテーラーメイドが成長した理由には、もうひとつ付け加える必要があるだろう。それは、日本市場を重要視して、極めて細かく分析し、ニーズを捉えていることだ。

「日本はゴルファーの数も売上げも、アメリカに次ぐ大きなマーケット。当然、重要視しています」と前置きをして、その特異性を指摘した。

「日本のゴルフ市場は、アメリカの30〜40代に比べて、40〜50代以降と年齢層が高いのが特徴。また、女性ゴルファーの比率も高い。それもあって、技術的には、他の国と比べてスイングスピードが少し遅いですね。マーケティング的には、質の高いプレミアムなもの、 そして、人とは違うオリジナリティがあるものを好みます」

これらの特徴から、日本市場をメインターゲットにした、よりドローバイアスに設定した『Mグローレ』が開発されたという。また、ウェアに関しても、フィット感の向上や高品質素材の採用、軽量化はもちろんのこと、ジッパーやボタン、襟など、細かい部分までプレミアム感にこだわった。

そして、今年の2月に発表される新商品群には、特に自信を持っているという。シェルドンーアレン氏は、「メタルウッドだけではなくて、アイアン、パター、フェアウェイ、ウェッジ、ボール、ウェアを含め、全ての商品がゲームインプルーブメントの方針、つまり、より楽しくゲームができるように開発されています。2020年のテーラーメイドにも、おおいに期待してください」と自信を覗かせる。実際、タイガーを含むアスリートは撮影で新商品を手にしており、非常にポジティブなフィードバックがあったという。


2020年は

これら新商品群に加えて、2020年には、成長を加速させる更なる追い風もある。東京オリンピックでは、リオに続いてゴルフが正式採用された。タイガー・ウッズも出場に意欲的なコメントをしており、実現すればゴルフ人気がより盛りあがることは間違いないだろう。シェルドンーアレン氏も「来日したらイベントの開催などができれば嬉しい」と前向きだ。

一方、リスクがないわけではない。それは、先ほども触れたゴルファーの高齢化だ。特に2020年は団塊世代の多くが70代を迎え、ゴルフ人口の急激な減少が危惧されている。そこで重要になるのが、若年層へのアプローチである。テーラーメイドでは、「ザ・ファースト・ティ」(ゴルフを通じて子どもたちに豊かな人生の価値観、健全な人格形成を促進する教育を施し、豊かな人生を歩ん
でいくことに貢献するプログラム)や日本ジュニアゴルフツアーに協賛し、プロダクトなどの提供を行っている。また、アメリカでは、ローリー・マキロイが監修した『RORYジュニアセット』も発売されている。2019年にオープンした旗艦店「テーラーメイド銀座」も、既存のゴルファーだけでなく、銀座という立地を活かしてゴルフになじみのなかった若年層にもアピールする目的があるという。

テーラーメイドは、1979年春にゲーリー・アダムスによって創設された。その年に発売されたのが、ステンレス製の「メタルウッド」だ。シェルドンーアレン氏は「そのイメージが強いと思いますが、ここ5~6年で、会社のポートフォリオを見直して、意識的にほかのプロダクトにも注力するようになってきています」と語る。その結果、ドライバー、フェアウェイ、ハイブリッドは市場で1位、アイアン、パターについては2位、ウェッジについては4位のマーケットシェアを占めるまで成長することができた。プロダクトのポートフォリオを多角化し、若年層へのアプローチも抜かりないテーラーメイド。2020年は、次なる成長ステージの第一歩となる年になりそうだ。


Topics

「すべてが特別で最高峰」
想像以上の驚きと感動がある

2019年11月16日にオープンした『テーラーメイド 銀座』。コンセプトは、<すべてが特別、すべてが最高峰>で、 単なるゴルフショップの枠を超えた存在を目指したという。店舗は地下1階から地上2階までの3フロアからなる。1階はクラブ、ボールを中心にハードグッズをラインアップ。店頭入り口にゴルフ場をイメージしたディスプレイゾーンを設置し世界観を演出している。2階はアパレル、 キャディバッグ、アクセサリーや銀座限定商品などのソフトグッズを展開。地下1階には、試打室、パターコーナーなどを設置した。最新鋭の設備を導入し、スイングを解析して最適なクラブを提案してくれる。また、ソファなどでくつろげる高級感のあるスペースも併設している。シェルドンーアレン氏も、「<テーラーメイド銀座>には、私たちのプロダクトが全て揃っています。ここに来てもらえれば、高い知識を持ったスタッフが、非常に質の高いエクスペリエンスを提供してくれるはずです」と太鼓判を押すフラッグシップショップだ。

 

Company Profile

資本金
969,000,000円
従業員
302名(社員・契約社員・定時社員)
事業内容
ゴルフ用品の製造、卸および販売