水と緑に恵まれた“エメラルドシティ”、シアトル。世界的企業の城下町として成長を遂げるなか、この街の魅力は、依然として、そこに暮らす人々のあたたかさにあるといえるだろう。
シアトルならでは、暮らしの豊かさを感じるのにとっておきの場所が、ウェスト・シアトル。
シアトルのルーツでもあるこのエリアを訪れることから始まり、最新のトピックスまで、まだ知られていない、この街の奥深い魅力をご紹介する。

Text_Sky Photo_Shinichiro Oroku, Coordination_Visit Seattle
visitseattle.jp / Kyoko Matsuda





豊かな自然に囲まれ、全米でも住みやすい街として知られるシアトル。馴染みがない方も多いかもしれないが、実はアマゾンやマイクロソフト、スターバックスにコストコと、世界的企業が本拠を置く大都市である。それらの企業の成長もあり、経済も好調で、人口はますます増加、文化も発展するばかりで、いま多方面から熱い視線を集めている。

観光のデスティネーションとしても例外ではない。アメリカ西海岸北部に位置するシアトルは、緯度の関係もあり、日本から最も近い北米のゲートウェイ都市でもある。前述のように街の発展に伴い、人々の往来がより盛んに、アメリカ国内とのネットワークも充実。名実ともにアメリカの玄関口としての存在感を増しているのだ。

もちろん、成長するシアトルには、観光で訪れたい注目のスポットも多い。しかし、元来、みな人当たりが良く、気さくで、飾らない。この街の魅力を知るためには、ダウンタウンを出て、この街に暮らすように、彼らの日常を体験してみることをおすすめしたい。ダウンタウンから見て西側の対岸、夕日の沈む麓に広がるのが、今回の旅の目的地だ。

ウェスト・シアトル、そこは、市民の普段の営みを知ることができる住宅街であると同時に、シアトルのルーツともいえる地でもある。1851年、内陸を横断しオレゴン州から海岸沿いに北上するという長い旅路を経て、ウェスト・シアトルのビーチに、ある一行が辿り着く。このエリアでの最初の白人の入植者である。彼らの一部は、内海に面し、より気候が穏やかな現在のパイオニア・スクエアのあたりに移り住み、後のシアトルの基礎を形作っていく。そう、つまりシアトル発祥の地は、一般的にパイオニア・スクエアと認識されているが、さらにその元を正せば、ウエスト・シアトルというわけだ。

さすがルーツの場所というせいか、訪れてみると、確かに、ここには古き良きシアトルとでもいうべき、穏やかな日常が存在していた。旅の始まりでは、毎週日曜、目抜き通りを歩行者天国にして行われるファーマーズマーケットを愉しみたい。早速この地の人のあたたかさに触れることができるだろう。シアトルのダウンタウンから、ウェスト・シアトルへは、高速道路や水上タクシーでわずか30分もかからない。さあ、まだ見ぬ、シアトルに“暮らす”旅へ。

Access

シアトルの空の玄関口、シアトル/タコマ国際空港へは、羽田空港から(3月29日から運航。3月28日までは成田国際空港発着)、デルタ航空の直行便で約9時間。
関西国際空港からも、デルタ航空の直行便が運航(2020年の運航予定:3月31日~10月26日)。

ウェスト・シアトルの中心街といえるジャンクションエリア。
カリフォルニア通りとアラスカ通りが交差する一角をコアに、特色あるショップやカフェ、レストランが軒を連ねる。建物は低層で趣のあるものが多く、伝統的なアメリカらしい、落ち着いた街並みでの散策が愉しめる。

↑ジャンクションでの週末の愉しみ、ファーマーズマーケット。地元の生産者による、新鮮な野菜や果物、肉や乳製品はもちろん、焼きたてのパンやアップルサイダーなど、旬の食材が一同に並ぶ。カリフォルニア通りを歩行者天国にして行われる。

↑かつて路面電車が走っていたころのジャンクション(結節点)であったことが、エリア名の由来とも。街には壁画が多いところも、散策の目を愉しませてくれる。